朝とも夜とも限らず遠くで聞こえるピーポーピーポーという救急車のサイレン音
あれ?そういえば最近今までとは少し音の違う救急車が走っているように感じるけども?
さてそれはいったい何故なんでしょうか
今日はそんなサイレンのお話をしてみたいと思います
あのサイレンには秘密があった
どうも最近救急車の音が違って聴こえる・・・そんな方多いと思います
表現するのは少し難しいのですが少し音がこもったような二重に聴こえるようなそんなサイレンの音
実はあの音はハーモニック音と呼ばれるサイレンのひとつで、和音を重ねることにより住宅地などでの反響音を軽減するという役割があります
消防車や救急車などの緊急走行車両のサイレン音は、その音量と周波数が法律によって定められているのでカーステレオのように簡単に音量の調整は出来ません
なので夜間の住宅地のような車の通行量の少ない場所ではこのハーモニック音を使うという訳です
臨機応変に切り替える理由
救急車がハーモニックサイレンを使うもうひとつの理由に車内の騒音防止という点が挙げられます
従来のサイレンの場合どうしても車内がうるさくなってしまい患者さんや家族からの問診がやりにくくなる場合があります
そういった状況も鑑みて救急車はサイレン音を切り替えることがあります
ピーポーとウーウーと秘密の爆音
救急車のサイレン音はピーポーとウーウーの2種類があります
どちらも法律的には緊急走行可能なサイレン音として認定されていますがピーポー音の方が騒音性が低いので基本的に救急車はピーポー音で走行することが多いです
ウーウー音は交差点進入時といったようなより一層周囲への注意が必要な場合に鳴らします
音の切り替えはダッシュボード上かセンターコンソール部分にあるアンプの操作部分で切り替え、通常は助手席に座る隊員が操作します
車両によっては機関員(運転手)が操作できるようハンドル付近にボタンを配置しているものもあります
そしてもうひとつ秘密の爆音装置を持つ救急車もあります
それがモーターサイレンと呼ばれる装置で甲子園の開始の音がモーターサイレンになります
モーターサイレンはピーポー音やウーウー音といった電子サイレントは別系統で動く仕組みになっているので万が一電子サイレンが故障した場合のために使われることが多いです
音量がピーポー音やウーウー音と比べてかなり大きいので、全く緊急走行車に気付いていない車両がいる場合や交通量の激しい大きな交差点で使うこともあります
赤色灯が球切れの場合ってどうなるの?
赤色灯(正しくは警光灯)は前方の1か所さえ正しく点いていれば緊急走行車両として認められます
救急車の場合視認性を良くするために前方2か所と後方2か所に配置されていることが多いです
最近ではLEDランプを使用する車両が増えていますので球切れは少なくなっているのかもしれませんね
緊急走行車両とはサイレン吹鳴+赤色灯点灯を満たす場合の車両なのでそのどちらかが欠けていると緊急走行車両とは認められません
たまに赤色灯だけ光らせている車両はナニ?
消防車や救急車が赤色灯だけをピカピカと光らせて走っている光景を見たことがあると思います
消防によってその目的が違うと思うのでハッキリとした理由はありませんが緊急走行でないのは間違いないので何らかの業務中であると考えてて良いでしょう
例えば消防車の場合は付近の警ら活動だったり広報活動中だったりします
救急車の場合は緊急性の無い医師搬送や医療機関へ用事があって出向する場合などが考えられます
理由は何にせよ赤色灯のみの点灯では緊急走行車両としては除外されますので一般の車両と同じように扱って構いません
サイレンの苦情
消防に対するクレームや苦情で最も多いのがサイレンがうるさいという内容です
特に救急出動件数が右肩上がりの日本の現状では消防署の近くや救急病院の近くに住まわれている方は救急車のサイレンに頭を悩ませていると思われます
緊急の事なのでこればかりはしょうがない・・・というのがギリギリの回答ですが、消防サイドも上述のハーモニックサイレンを使用したり緊急走行が不必要と思われる道路での吹鳴は極力抑える努力をしていますのでご理解とご協力を宜しくお願いします(←というのがよくある公式アナウンス)
消防車と救急車のサイレンの意味
救急車の場合はそういった配慮がありますが、消防車の場合は話が変わってきます
火災や災害時での消防車の出動の場合消防車は思いっ切りサイレンを吹鳴させます
これには消防車両が大きいため周囲への注意喚起の意味もありますが、現場到着時にその周辺の住民への注意喚起の面も大きいのです
例えば深夜にマンションの一室で火災が起きた場合、消防車がマンション付近で音を立てずに出動したらどうなるでしょう?寝ていて火災に気付かない人もいるかもしれませんし、隣接する建物の人も気付かないかもしれません
そういった事にならないために消防車は現場近くまでサイレンを吹鳴させる事になっています
おわりに
いかがでしたでしょうか、サイレンひとつとっても色々と事情がある事が分かりますね
緊急走行車両は消防車や救急車以外にも警察車両や自衛隊車両のような公安職の車両や
ドクターカーやガス会社車両、赤十字病院の持つ血液搬送車といった民間(半官半民)の車両にもその権限が与えられているものもあります
どれも色んな役割があり緊急走行を滅多に見ることの出来ない車両も意外と多いです。
ただ、緊急走行が必要な場合と言うのは普通の状態ではないということなので見る機会が無い方が良い世の中なんですけどね
今日も静かな町でありますように・・・
ご一読ありがとうございました