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消防組織について

消防ってナニ?どんな組織?

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街中をたまに見かけるサイレンを鳴らして走る消防車や救急車
そしてニュースなどで目にする火事や災害で活躍する消防士達

彼らの組織である”消防”とは一体どういうものなのでしょうか?

身近なようであまり知られていない消防の組織を分かりやすくまとめてみました

分かりにくい消防の名称

総務省の情報によると全国には750の消防本部と1,709の消防署があり約16万人の消防職員で成り立っているとされています

ここで分かりにくいのが消防局や消防本部、消防署、それから消防所(署ではなく所)という単語の意味です

まず消防局と消防本部というのはほとんど同じ意味を持ちます

どちらも消防組織全体を差す言葉で一般的に多いのは本部という呼び名ですが、組織が大きくなると消防局という呼び方に名称変更する場合があります

全体を指す名称なので以下の消防署、消防所もこの消防本部の中の部署という考え方でいいでしょう

消防署とは実際に災害現場で活躍する消防職員のいる部署の事です
消火業務、救急業務、救助業務、潜水業務などなどその業務は色々と細分化されます

専任制といってひとつの業務のみに従事する場合と
兼任制という複数の業務をこなす場合もあります

兼任制では1日24時間当番の間に例えば日中は消火業務で夜間は救急業務
というように日内でシフト変更することもあります

消防所とは所謂消防出張所の略で署よりも小さな施設になります

自治体の面積がある程度広い場合ひとつの消防署では到着に時間がかかってしまう地域が出てしまいます
そのために小さな消防出張所を適宜に配置することで初期対応がスムーズにいきます

一般的に消防署よりも単純な設備や車両が配置されており人員も最小限となります

組織的には消防署の下に入る場合が普通です

まとめますと大きい順に消防本部 > 消防署 > 消防出張所となり
最小単位である出張所の名称は「A消防本部B消防署C出張所」と表されます

自治体によって消防署が複数あったり東京消防庁のように地域を方面で分けた「方面本部」という本部を複数設置する場合もあります

ですがこれは人口の多い都市や自治体の話で、現在の日本における一般的な消防組織は
1本部1消防署(プラス1つ以上の出張所)

という組織が多いと思います

簡単にした図(実際にはもう少し複雑)

消防本部のもうひとつの意味

少しややこしい話になりますが消防本部という名称にはもうひとつの意味があります

それが日勤業務と呼ばれるデスクワークの部署です

(デスクワークでの)消防本部は総務課や予防課など様々な課で構成されており
普段は朝8から夕方17時までの勤務時間と市役所の職員と変わらない職務時間となります

現場の消防職員と違い災害等に出動することは特別な状況を除きありません

特別な状況というのは例えば震災などの大災害時などにおいては非常時ですので現場に赴くこともあるということです

とはいえ彼らも異動を経て日勤業務をしているだけなのでほとんどは元々現場経験のある職員です
なので現場活動においては多少のブランクはありますが決して素人という訳じゃないのでご安心を。

ちなみにデスクワークの業務を日勤業務と呼ぶのに対して
現場での24時間交代制の勤務は隔勤業務(かっきん)と呼ばれます

これは隔日勤務の略ですね、消防の勤務時間については次に述べたいと思います

消防の勤務時間って?

日勤業務が8時から17時というのは先ほども述べた通りです

では現場の隔日勤務はというと
24時間勤務後に48時間非番というサイクルが一般的です

このサイクルは3交代制と呼ばれており1つの消防署・所において3チームが24時間交代で毎日順番に勤務するという事になります。現在多くの消防本部がこの体制をとっています

少数ですが他に2交代制や変則2交代制、4班2シフト制といった勤務体制があり各消防本部によって変わります

色々と違いのある勤務体制ですがどの体制においても月の総勤務時間数は条例で定められた時間数になってますので変わりはありません

採用について

消防の採用は地方公務員採用試験に準じます

年に1回行われる地方公務員採用試験の消防枠でその試験・採用を行います

一般行政職と消防職が分けられる理由としてはあまりにも職種内容に違いがあるからだと推測されます

しかし試験内容は一般職も消防職も同じかほぼ同じといった内容で、一般職のように初級・中級・上級・特別職(救急救命士や車両整備士枠)といった受験枠があります

毎年の採用数は変化するのがほとんどで、基本的に前年度退職者数が採用数となります

公務員人気の高まりとともに消防採用試験を受験する人も増えてきており、また子供の頃からの夢という人が多く、たとえ不合格となっても何度も受け続ける人が多いのが現状です。ですので合格することは狭き道となってます

救急車って消防の組織?

救急車とは消防の業務のひとつである救急業務に従事している車両の事です、ですので消防の組織です

消防法の第一条にはこう記されています

第一条 この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。

この条文の中の災害などによる傷病者の搬送を・・・という一文がその根拠となります

救急隊員として救急車で働くためには消防が定める資格が必要になります

有名なのは救急車の中で医師の指示を受けて医療行為が出来る救急救命士という資格で、これは民間の専門学校や大学等で取得することが出来ます

救急救命士でない消防職員は採用された後に消防学校と呼ばれる消防職員専用の学校において救急標準過程という研修を受けて救急車に乗る資格を得ることが出来ます。この資格はあくまで消防組織内での限定的な資格なので消防組織外ではほぼ使えません

全ての消防職員がこの救急標準過程を受けているわけではないので、全ての消防職員が救急車に乗れるわけではないということですね

救急救命士は民間の学校で取得せずとも、ある一定の条件を満たした現場の救急隊員が指定された養成学校での研修を経て取得できる場合もあります

なぜ消防士と呼ばないのか

消防士という呼称は消防組織内では階級に当たります

消防の階級は下から順番に
消防士・消防副士長・消防士長・消防司令補・消防司令・消防司令長・消防監・消防正監・消防司監・消防総監となります

階級名称なので救急隊員でも消防士がいますし、日勤者でも消防士(と呼べる者)がいます

組織内部では一般の方がイメージする消火活動を行う人は消火隊員とか警防隊員という呼称が普通です

なので消防組織で働く人の事は総じて消防職員と呼ぶのが一番良いと言えます

消防吏員という言葉もあり、それは階級を持つ消防職員のことを指します。逆に階級を持たない職員とは例えば一般行政職(役所)から限定的に日勤業務に異動してきた人や車両整備専門で採用された人の事で、彼らは有事の際の消防現場活動は行えません。

言い換えれば一般のイメージである消防士=消防吏員と言い換えても問題ありません

このサイトでは分かりやすいように度々消防士という名称を使うこともありますが一般の人に分かりやすくするための事なのでどうぞご理解ください

消防の給料と手当

日勤業務と隔勤業務では2~3割ほど開きがあります

これは24時間勤務となる隔勤業務においては様々な手当てが付いてくる場合が多いからです
(日勤業務の場合は一般行政と一緒の給料です)

主な手当てとしては特殊勤務手当夜間勤務手当などが挙げられます

特殊勤務手当というのは出動に応じた手当てが支給されるものです

例えば特殊勤務手当の内の救急手当の場合、救急車での救急搬送1件につき270円が支給されるといったものになります(東京消防庁での救急出動1時間未満の場合)

夜間勤務手当とは夜間の22時から朝5時まで勤務した場合の手当で出動が無くとももらえます(東京消防庁の場合)

手当に関しては各自治体の条例によって異なるので全国統一ではありません

同じような勤務状況なのに隣接する消防で全然違う手当になる(つまり給料が変わる)というのはよくある事です、財政状況の悪い自治体では往々にして手当や時間外手当に関するお金の問題が取りざたされます

同じよう見える消防組織も場所が変われば全く違う組織になるといったところでしょうか

各自治体の給与表や手当に関することは公開されているのが普通なので、気になる方はネットで調べてみて下さい

おわりに

消防組織というのは自治体ごとに運営されているので全てが一律に同じではありません

ですのでそれが原因で一般の方には分からないような不明な部分が多々あると思います。

このサイトでは一般の方により消防の事を理解してもらえるように、また消防士を目指している方や少しでも消防に興味を持っている方などにも多くの情報を与えられるようなそんなサイトを目指しております

間違っている点や筆者が誤解している点もあるかと思いますが、その際は随時訂正させていただきますので何かあればコメントにてお伝えください

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