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ストレス 消防組織について

消防士に向いているかどうかは○○に耐えられるかどうかが鍵

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世の中どんな職業でも必ず人それぞれに向き不向きというものが存在します、消防士も勿論その例に漏れません

一般の人や消防士を目指す方の多くは
消防士=火災現場や救急現場で活躍する職業

というイメージが先行しがちですが、実際にそのような現場は全仕事の1割位にしか過ぎずそのほとんどは予防事務作業や訓練、体力錬成といったような目には見えないものがほとんどです

ですのでイメージ通りの消防士を想像して消防に入った人の中には少なからず

こんなはずじゃなかった・・・という思いをしている人がいます。

その人達は残念ながらきっと消防職に不向きだったのでしょう

では今日はそんな消防士になるための向き・不向きについてを記事にしたいと思います

やる気と向き不向きは別問題

まずはタイトルの○○から答え合わせです

あなたが消防士に向いているかどうかは

人の為に役に立ちたい
命を救いたい
体力に自信がある
正義感や使命感が強い

などはあまり関係ありません、これらは消防士に必要な最低限の心構えであり職務を継続する上での向き不向きとは別の話です

消防士に向いているかどうかは理不尽な事に耐えられるかどうか。これが一番大切な事です

世間の理不尽とは違う独特な世界

会社勤め経験のある方ならばその意味は理解されているかと思いますし新卒の方はあまりピンとこないかもしれません

実際どんな職業でもある種の理不尽はつきもので、ほとんどの社会人はこれと一生向き合っていかねばなりません

ですが、消防士における理不尽さとは一般の社会人のそれとはかなり違います。
いったいどんな理不尽な事があるのでしょうか?

結果に不幸が多い理不尽

映画のようなハッピーエンドは現実にはほとんどありません

要救助者の火災での焼死、救助現場での交通事故死、急病での急死、財産の消失など
消防職と言う職業には幸よりも不幸の方が圧倒的に多いのが現実です

1つの命、1つの財産を守る事がどれだけ難しい事なのかは経験を積めば積むほど分かってきます

消火隊員であれ救助隊員であれ救急隊員であれ
消防職を拝命した者の任務は市民の生命、身体、財産を守ること

日々のツラい訓練もその唯一目標を達成するために行います

が、そこに現実という理不尽な壁が立ちはだかります

どれだけ努力しても、どれだけ反省し研鑽を重ねてもそれに見合う結果が得られることが少ないのです。

まずその残酷な現実の理不尽に耐えられるかどうか

それが最初の問題となります

3kの理不尽

消防士同士の会話の中で冗談でよく出てくるのが消防は3K職業だと言うことです

3Kとはキツイ・汚い・危険の頭文字

当たり前ですがどの現場も普通の人が働くような場所ではありません、というより人がいる場所ですらない事もよくあります

暴風域の台風の中でも活動しますし洪水時には胸まで水に浸かりながら救助活動を行ったりします

そのストレスは想像に難くないと思いますが災害の全てが自分の意志ではどうにもならないという理不尽さがそこに存在します。

消防士に憧れて入った人も想像を超える現場のツラさに日勤への異動を希望する人もいるくらいです

自分のペースで仕事が出来ない理不尽

一般の会社ですと基本的に自分の仕事のペースや見切りは自分で管理して行うことが出来ます

しかし消防の仕事の大半はそうではありません

夜中の仮眠時間に出動ベルで目を覚まし1分で頭をフル回転モードにしなければなりませんし
出動が重なると一睡も出来ない事はしょっちゅうです

現場裏話
繁華街などを管轄に持つような忙しい救急隊に配属された場合、日中に比べ夜中の出動が増えます。その場合出動、帰署、仮眠・・・出動帰署仮眠・・・を繰り返すよりいっその事ずっと出動&搬送を続け、一睡もしない場合の方が逆に楽でした。
休んでいるところを叩き起こされるストレスは2年位慣れませんでした

災害や通常の救急出動はいつ起こるか分からないので常に受け身での仕事になります

基本、署にいるときは報告書や勤怠関係の書類作成のデスクワークを行いますが、現場が続けばその期日が守れません

一旦仕事に入るとトイレに行っている時も休憩している時も食事の時も常に頭の片隅では
今出動が入ったらああしてこうして・・・

24時間誰かに監視されているような束縛感に付きまとわれます。

体育会系の理不尽

全国に750ある消防本部

その職務は全て同じでも消防(自治体)が違えば勤務体制や給与、雰囲気や人間関係に至るまで全く別の組織です

ですがそんな消防にひとつだけ絶対的なものがあるとすればどこも体育会系だということ。

以下私の体験談ですが、初任教育課程修了後の現場配置以降約1年間はほとんどの非番日は何らかの雑用を任され結局仕事場に行く毎日でした

24時間勤務で当務員の食事を自炊する消防署では、毎日こまごまとした買い出しが必要になります
それを非番の若手職員が行いました。非番日に買い出しに出掛けさっき退社した消防署へ・・・何か虚しい

それからボランティア清掃という名の消防OBの自宅の草刈りや、上司が行う地域行事への強制参加、先輩の引越しの手伝い、先輩の友人の引越しの手伝い(面識無し)、催し物や飲み会の企画準備、結婚式の余興などなど

数えあげるとキリがないほど休みの日はそういったことに時間を使いました

ほとんどは上司や先輩、はたまた顔も知らないOBからのお願い(という名の強制)が毎日のように降ってきます

1年先輩の言う事は絶対、5年先輩だと神のお言葉、10年先輩の言う事にはハイかイエスかの2択でした。

一般の会社とは違う独特な世界

という訳で消防にありがちな理不尽さをまとめてみました

理不尽とは物事の筋が通らない事、つまり無茶苦茶な事

消防という独特の世界はそういう理不尽さで溢れています

消防の常識は世間の非常識

という言葉もあるくらい一風変わった業界ですので、これから消防士を目指す方々はそういった事がもしかしたらあるかもしれないというのを覚えておいた方が良いでしょう

職場環境が合わないから辞めて次の消防へ・・・とう訳にはなかなかいかないですからね
受験する消防署の雰囲気はあらかじめ把握してた方が後々後悔しなくてすむ・・・かもしれません。

-ストレス, 消防組織について

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